ついに風邪薬が出来るか

 ちょっと前の記事だが、Nature Newsにこんな記事が出ていた。Scienceに掲載された論文の紹介だ。


 → The genomics of the sniffles : Nature News

 → Sequencing and Analyses of All Known Human Rhinovirus Genomes Reveals Structure and Evolution -- Palmenberg et al., 10.1126/science.1165557 -- Science


 ざっと見た限りだと、日本語圏で紹介されてなかったようなので、簡単に書いてみる。

 なお時間があったら、この件についてブログにもう少しじっくりと書くつもりだったんだけど、今ちょっと論文を参照できないので、もう諦めることにする。申し訳ない。


 で、件の記事だけど、ライノウイルスという鼻風邪の原因となるウイルスのゲノムを解いたというもの。このライノウイルスだけども、

またライノウイルスを例に挙げると、数百種類の型が存在するためワクチンを作ることは事実上不可能であり、どのウイルス(または細菌)が原因なのか診断するのも困難である。

 とWikipediaにも書いてあるように、複数種のタイプが存在するため、解析が難しく、またワクチンの作成や原因の究明が難しいというのが特徴。ライノウイルスについては、以下のページも詳しい。


 → ライノウイルス


 あと余談だけど、「もやしもん」というマンガの第一巻の中で、川浜が感染していたのも、たしかライノウイルスだ。もやしもん中でライノウイルスはこんな感じに描かれている。


 今回Scienceの電子版に掲載された論文では、ライノウイルスの100種類以上のサブタイプについて、全ゲノムを解析し、比較検討しているのだけど、興味深いことが分かったらしい。


 例えば、

  • 同一細胞に感染したウイルスの間で遺伝子の水平伝播が頻繁に起こっていた。
  • ゲノム中のある領域の可変性が非常に高い。ポリオウイルスでは同様の領域が病原性に関わっている。
  • ライノウイルスのゲノムは感染した細胞のリボソームに翻訳させやすい構造を取る可能性がある。

 といったことが分かってきた。


 今後はゲノムの配列情報と、病原性や地域での感染との関連を結びつけていくらしい。冗談で、風邪薬を作ったらノーベル賞とかいわれるぐらい風邪の対策は難しかったんだけど、ひょっとすると効果的な風邪薬や風邪のワクチンができたりするかもしれない?