小林秀雄著「近代絵画」
つい先日まで旅行に出掛けていたんだが、その行き帰りの飛行機の中で読んだ本の中の1冊。
本気で、書評を書こうかとも思ったけど、気が乗らないので、ここに適当な感想でも。
- 作者: 小林秀雄
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1968/11
- メディア: 文庫
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それにしても、小林秀雄はすごいの一言に尽きる。本人は批評家といっているが、ある意味これは一つの作品・随筆として言ってしまっても良い気がする。
高校の時、小林秀雄をよく読んで、こいつには敵わないなと思ったのをよく覚えてる。実際、顔を見ても敵いそうにないし・・・(汗)
作品は、近代絵画の批評家ボードレールから始まり、モネ、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、ドガ、ピカソといった画家の作品をより詳細に「見て」、「解析」し、そして「語って」くれている。
また、作品中の3分の1をピカソ論に占められており、その解説、特にキュービズムにおける抽象絵画や自然主義といった考えを引用し、解析したその説明はすばらしく、一気に読み切ってしまったほどだ。
小林秀雄は美術の専門家ではなく、その作品の見方は実に簡潔で分かりやすい。
単純な作品の説明ではなく、その背後にある画家同士の影響、人間関係についても、詳しく説明してくれている。そのせいか、俺のような絵画の門外漢にもすーっと絵画のことが理解できたような気がした。
こうした門外漢を惹きつけてしまうこの書の魅力というのは、本当におそろしいと思った。