研究って何のためにするんだろうね

 inspired by 何を思って研究しているのだろうか... - 桜の木の下でのんびり過ごす


 上の記事を読んで、研究って自分にとって何のためにあるんだろうってちょっとだけ考えてみました。

 俺は最近、研究者ってひとつの生き方だと考えるようになってきました。たいていの研究ってのは重箱の隅をつつくような内容が多いし、「世界に貢献できるすごい研究をする」みたいな、そんな大それたことは考えるのは悪いこととは思わないけれど疲れてしまうし、自分にとっての研究の意味は、自らの人生を良くするためのひとつの指針ぐらいに捉えた方がいいのでは、と考えています。

 以前、大学院生活が終わったときに、1つの記事を書いたんですが、この時の記事にも書いたように、研究の壁を越えた時のあの感動は何事にも代え難いものですし、今でも自分の人生の糧になっています。「不思議なこと/分かってないことを明らかにしたい。」今も昔もその気持ちが俺の研究の原動力です。


 でも周りの人との関係を考えた時、かれこれ数年研究者として生きてきたけれど、研究者って専門に特化している分、どこか世間とずれてしまっているところがあるんですよね。少なくとも俺にはそういうところが多分にあるように感じますし、そのせいで孤独を感じたこともあります。

 そんな俺が、自分の身の回りにいる人達のために、または世界中の他の研究者のために役に立てることは何かっていつも深く考えるんだけど、研究者として業績を出して、運が良ければちょっとだけ名を上げることかな、とは思っていて、そのことは少し意識しています。


 ここ数年、あるテーマについての研究を進めてて、形になるまでにもうちょっとだけ時間が掛かりそうなんだけど、このテーマもこれまで10-20年間にこの分野を開拓し、研究を進めてきた数多くの研究者の仕事があって、その先に俺の仕事があるわけで、俺自身の貢献度なんてちっぽけな一歩なんですよね。でも、そんなちっぽけなものが積み重なって、科学が出来上がっている。そして、きっと俺の研究の先にも、まだ見ぬ誰かが研究を続けてくれると信じてる。科学や研究ってそういったものだと思うのです。

 たとえちっぽけな仕事でも、この仕事が形になったとき、この一歩は俺が貢献したんだぞって誇れるそんな業績にしたいです。さあ、明日も実験頑張ろう。