分かりやすく伝えたくて書いた文章

 昔々、どこか分からないある場所に、とっても不思議な島がありました。

 その島には真実しか言わない正直者と、嘘しか言わない嘘つきしか住んでいません。さらに、その島には正直者だけが住む「まじめ村」と、嘘つきだけが住む「嘘つき村」がありました。

 これら2つの村には、それぞれ絶対的な規則があり、まじめ村の村民は真実で「証明可能」なことだけを発言する、そして、嘘つき村の村民は嘘で「反証可能」なことだけを発言するという決まりになっています。


 さて、そんな島に不思議な漂流者Gがやってきました。そのGさんは記憶喪失なのか、気がおかしくなったのか、「私はまじめ村の村民ではない」という言葉しか話しません。

 嘘つきの人たちはこうした発言をすることができないので、ひとまず島民はGさんをまじめ村に連れて行きました。しかし、Gさん本人が「私はまじめ村の村民ではない」と自分で言っているので、島民はみな困ってしまいました。

 もし仮にGさんをまじめ村に登録してしまうと、まじめ村は村民である人と村民でない人を抱えることになってしまい、村の絶対的な規則に矛盾してしまうのです。かといって、まじめ村の村民でも嘘つき村の村民でもないと決めてしまうと、Gさんの言っていることは本当でも嘘でもなくなり、訳が分からなくなってしまうのです。

 Gさんの存在に、全島民は絶望するしかありませんでした。


 関連→ ゲーデルの不完全性定理 - Wikipedia