エボラウイルスに関する覚え書き
保健省当局者らによると、養豚場に出入りしていた関係者約50人の血液などを検査したところ、豚で見つかった「レストン」と呼ばれるタイプのエボラウイルスに1人が感染していた。発症はしておらず、感染源が豚かどうかも不明という。
エボラ・レストン株とは何なのか?
エボラ・ウイルスはこれまで5種類の株が報告されている。ザイール株、スーダン株、コートジボアール株、ブンディブギョ株、そして今回報告されたレストン株である。
ザイール株、スーダン株、ブンディブギョ株はいわゆるエボラ出血熱と関連し、25%から90%という高い致死率を示すが、コートジボアール株とレストン株は(ヒトにおける)出血熱とは関係ない。
エボラ・レストン株と出血熱を起こす株との違いは?
エボラ・レストン株は人に感染する事は知られているが、病原性の報告は現在までない。主に致死性を示すのはサルや豚である。ただ、これまでに25名程度の人にレストン株に対する抗体が観察されている事から、病原性はなくても、人はこの株に対する免疫応答をしていることが分かる。
レストン株は大したことない。では、今回のニュースの危険性は何?
今回は、豚の大量死と同時に、飼育者にエボラ・レストン株の抗体が観察された。このことは、飼育者が豚からエボラウイルスに感染した可能性が高いことを示している。
鳥インフルエンザのニュースなどでも知られているが、豚は複数種のウイルスに同時に感染し、ウイルスに変異を導入させる温床となる事が知られている。
したがって、今回のケースではレストン株が豚の体内で、人に対する感染性を獲得してしまう危険性がある。しかも、豚はサルに比べて、人とふれあっている期間・場所が多いため、人に感染する機会も多い。
エボラ対策は?
血液や体液の接触によって感染するので、そういったものに触れないようにするのが一番。空気感染はない。また、感染豚やエボラで死んだ豚は食べない方がいい。