進化ネタだとよく言われてしまうけど、進化にどっちが進んでいるもないのです

 → asahi.com(朝日新聞社):脊椎動物の祖先はナメクジウオ 「ホヤ」との論争に決着 - サイエンス


 「脊椎動物の祖先がナメクジウオ」というタイトルの表現は、間違っている。

 正しく表現するのなら、「脊椎動物とより近縁なのは、ホヤ。」というのが好ましい。一般に、進化のことを扱うとき、構造が複雑なものがあとになって進化してきたと勘違いしがちだが、進化にはどちらが進んでいて、どちらが遅れているという概念はない。だから、上の記事のタイトルにあるような「ナメクジウオのが前である」的な表現は進化学的には違っている。


 したがって、脊椎動物の祖先はナメクジウオではなく、脊椎動物ナメクジウオの共通の祖先Xが存在するのでしょう。おそらくXは原始的な脊索動物であり、スティーブン・ジェイ・グールドのワンダフルライフに出てくるピカイアのようなものかもしれない。もっとも、Wikipediaピカイアのページを見る限りだと、ピカイアよりも古い地層から脊索動物の化石が発見されているので、ピカイア脊椎動物の直接の祖先ではないというのが、現時点での専門家の見解らしいですが。



 → ピカイア - Wikipedia


 いずれにせよ、脊椎動物の進化の過程が明らかになったことは興味深いことです。ナメクジウオには、人の遺伝子の9割があるという記述があったけれど、miRNAとかSplice variantがナメクジウオではどのようになっているのか、そこら辺がすごく気になりますね。